自作できるオゾン装置〜雨水リサイクルに使えるオゾン

自作できるオゾン装置〜雨水リサイクルに使えるオゾン

今回は、雨水リサイクルにもオゾンが活用できるというお話をしたいと思います。

雨水をリサイクルするシステムとは?

UV殺菌ではなくあえてオゾン殺菌が有用な訳

「広範囲均一に殺菌が望めるのはオゾンのほうだったから」です。水道水の浄水でオゾン処理導入例がよい例です。(詳しくは以前の水道水とオゾンを参照してください)

雨水貯水システムの概要とオゾン装置の設置

浄化度は下方図1を参照しながらご覧ください。雨水リサイクルを擁している施設を見つけ、オゾン設備はどうだろう?と当て込んでお話を聞きに行ったのですがありませんでした(残念)まあ、、、ちょっと、、苦しいですが(笑)お聞きください。

例題:仙台市宮城野区市民センターの雨水リサイクルモデル(整水レベルⅢ-1程度)

例題:仙台市宮城野区市民センターの雨水リサイクルモデル(整水レベルⅢ-1程度)
例題:仙台市宮城野区市民センターの雨水リサイクルモデル(整水レベルⅢ-1程度)

青細線で囲った部分の初期雨水槽に塩素系薬品を投入してボーフラや藻の発生などを防止しているそうです。浄水レベルはⅢ-1なので災害非常水槽目的ではないとのこと。非常水確保という意味ではなく悪臭や汚れの原因を作らないといったような目的です。
*もしオゾン発生(照射型)装置やオゾン処理水を注入をするならここの水槽ですね。その場合のオゾン濃度ですが、コンクリートはアルカリ性なので比例してオゾンの分解も遅くなります(次項目で詳細を説明します)。オゾン濃度の計算はコンクリートのphとオゾン分解速度を加味した濃度でざっと目測できます。

今回の取材は公共機関の新築市民センターです。雨水は地下貯留水槽に集められポンプで各階トイレの流し水として利用されています。雨が降らないときを想定して上水道との併用で流水量を保っています。排水はリサイクルされずそのまま下水道へ流しているということでした。水槽の殺菌は塩素系の薬品を使って殺菌しているのですが、飲用は想定しておらず厳密な沈澱ろ過層(及びろ過装置など)は設置していないそうです。

近い形でのオゾン導入施工例

近い形でのオゾン導入施工例
出典:リガルジョイント

整雨装置、殺菌装置のオゾンの役割

整水レベル 用途 制菌方法(一例)
殺菌の有無
レベルⅠ
雨水を集積しそのまま使用
庭木の散水、打ち水、泥落とし、雨池、ビオトープ貯水など なし
レベルⅡ
粗いゴミや木葉、降り始めの雨水を簡易除去
機器の下洗い、洗浄水、フロア清掃用水など なし
レベルⅢ-1
簡易沈澱式でろ過し、細かい砂や土、泥などを充分に除去するが、基本そのまま使用する
トイレの流し水、洗濯、非常用水など なし
レベルⅢ-2
上記と同様だが、微生物などは除菌する
スプリンクラー、冷却水、屋外冷風扇など 沈殿簡易ろ過
レベルⅣ-1
(除菌レベル)
風呂、シャワー、野菜の土を洗うなど 沈殿簡易ろ過
レベルⅣ-2
(殺菌、消毒レベル)
洗面まわり(髭剃りなど)、歯磨き、飲用水、調理など ・活性炭ろ過+オゾン照射又はオゾン水注入
・活性炭ろ過+塩素系薬品添加
・RO膜ろ過

災害時の飲用にも使用できる雨水にするために(整水レベルⅣ-2)

実は「雨水は蒸留水のような純水の味」がします。冬に綺麗な雪をすくってたべたりしたことはありませんか?ちょっと美味しくなかった記憶があると思いますが、それはなぜかと言うと、ミネラルであるカルシウム、マグネシウムなどが入っていないためです。雨水は地に降り立って地中で自然ろ過され、採水されるのであの味わいがでるのです。
「雪は美味しくなかったけど氷柱(つらら)は少しましだったような、、」
それは大変申し上げにくいですが屋根板の素材の味です。

雨水リサイクル簡易貯水システムを作ってみる

実は雨水リサイクルシステムは自作することができます。オゾン発生装置をオプションをつけてみればボーフラ発生装置に成り下がることも回避できますよ。
「自作雨水リサイクル」引用資料は、全水道浄水場に高度浄水としてオゾン処理導入を達成した大阪市の配布資料の配布資料より引用いたします。
雨水リサイクル簡易貯水システムを作ってみる

国や自治体の各種助成金でオゾン洗水機材も申請できる

心配な費用に関してですが公共施設だけではなく個人一般でも推奨されている地域も66ヶ所(2009年度)あり、「雨水貯留施設に関する助成金」を出している自治体では、貯水タンクや浄水の設置費用の一部を助成しています。オゾン発生装置も申請可能です。
ダムのない水不足になることがまま起きる地域や、灌漑施設の一貫として雨水を貯めることで市街に溢れる流水を地下に貯留する地域など目的も色々です。
参考リンク:「雨水利用自治体担当者連絡会」http://www.mlit.go.jp/crd/chiiki/tiikidukuri/93-37.html

オゾン機器や材料調達はどうするか?

水槽のリットル数をどのくらいにするか?最低限の10ー20リットルだと、遮光さえできれば古い浴槽をリサイクルすることもできますし、本格的だと大型ポリ水槽を連結する、又はコンクリートで簡易槽を作ることでもできます。
これに外付け装置として簡易ろ過装置やオゾン発生装置、オゾンを溶け込ませる為のナノバブルを作り出す気泡装置やバルブなどを取り付けます(ハイレベルな浄水が出来ます)。そこまでは、という場合は規模と予算に合わせて小型水槽用に。安価なものもたくさん出回っているようです。貯水槽のリットル数にあわせ、地面にちょこんと置けるコンパクトな業務用オゾン発生装置もamazonやオゾン機器メーカーの通販で気軽に買うことができます。

簡易ろ過式雨水リサイクルはこのような配置です。設置する浄水システムにより飲用可能です。

出典: 「雨の建築道」技報堂出版より
出典: 「雨の建築道」技報堂出版より

【商品例 雨水簡易ろ過キット一例】
上図の「取水装置」部に装着します。

レインソーター
出典:レインソーター

【取り付け型オゾン発生装置】
上図、「雨水貯水槽」外に設置します。頻繁に使うのであれば「殺菌装置」部分でも可能です。配管継ぎ目であればイジェクタ等もあります。
取り付けキットにより用途色々に使えるタイプだとこのようなマルチ機器があります。

取り付け型オゾン発生器
取り付け型オゾン発生器

水中に設置するナノバブル装置(オゾンの気泡の細かさをナノレベルにし水槽に拡散します)

イジェクタ(オゾン発生装置から出たオゾンガスを水に溶け込ませる装置、配管途中に設置する)

イジェクタ(オゾン発生装置から出たオゾンガスを水に溶け込ませる装置、配管途中に設置する)

イジェクタ2

参考商品画像出典:リガルジョイント
http://www.rgl.co.jp/shopdetail/000000000001/ct18/page1/recommend/

雨水管理はどうするか?

1.酸性雨問題
コンクリートを流して自作することが出来るならばその特性で、降り始めの雨水ごと貯留することも場合に依り可能です。最近叫ばれている酸性雨ですが酷い公害ではなくても降り始めの雨水というものはphが酸性です。実は、コンクリートは酸性をアルカリ性に傾かせる性質があるので1―2日間貯留させておくと中和されてゆくのです。ただ、ちょっと痛むのが早いのが難点です。
ポリタンクやプラスチック浴槽リサイクルならば見た目も素敵なホタテとかの貝殻をいれておきましょう(^-^)/同じ効果がありますよ!なんなら牛の頭蓋骨でも構いませんよ!笑。

カッコいいものだと「砂漠の薔薇」もよいかもしれません(あくまでも趣味です)白いやつが役に立ちます。

雨水管理はどうするか?<
出典:https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52201990/

*飲用水までいかなくとも洗浄水にする場合も酸性が強いと腐食が速くなるのでph調整はあるに越したことはありません。

メンテナンスに関して

基本、水には違いないので腐食は否めません。配管、ゴムパッキンなどは避けられないものですが大量の塩素を使用するよりは、いささかオゾン処理水のほうが緩やかという程度のようです。それでもオゾンは強酸化力で細菌を破砕している活性物質ですから消耗品は計算のうちとしておくものです。
コンクリート水槽では、普通の雨風に当たった場合、初期には13ph以上のアルカリ性であっても沿岸部では数年で8.5以下の中性に近い数値になってしまいます。地下水槽では初期雨を流入させなければ経年劣化はかなり緩やかですが、塩素やオゾンの酸化速度分はやはり足が早いでしょう。(オゾンはphが酸性に傾けば傾くほど分解速度が速くなっていく性質があるのです) だからといってすぐに壊れることはないですが亀裂や腐食が見られたらすぐに補修コンクリートでメンテナンスすることで面倒を防ぐことが出来ます。

まとめ 税金が免除される『雨水公費』とは?

「下水道料金の節税ができる合流式下水処理の処理費用負担という国の制度があります」

下水道料金の控除が受けられる『雨水公費』

下水道料金というものは本来上水道料金に比例して算出されるものです。なので「台所で調理もトイレもあまり使わなかったのに下水料金が高い」ということがあったりもするわけです。
しかしこの割引制度は、上水道とあわせ雨水を利用した場合、下水道料金が割引になる法律です。これはらは税金で賄われるので公共施設で雨水貯水を建造物に組み込み建築することが多くなりました。
宮城県のように地震災害が定期的に起こることが想定されるエリアでは特に推奨されており、リットル数や整雨レベルは低いものの貯水槽を擁しているところは多くなってきました。広告活動的にある例として10数年位前から生協西多賀店さんでは、屋外に一部の雨水を集水し樽を設置して解説文が添えてありました。主に店舗前広場の散水と生花のみずやりに雨水リサイクルが使われていたようです。
この制度を使うさいにオゾン処理を導入して非常時にも使える整水レベルの雨水量を長期確保出来れば環境保全にもまちづくりにもよい結果が出るかもしれません。

*詳しくは「国土交通省HPより 3.雨水公費・汚水私費の原則」をご参照ください。
*参考資料協力:(株)イプロス様には多大な資料拝見させていただきました。バルブなど部品の紹介しきれなかったものをお教えいただきました。

それではまた。