どうしたらオゾンができるか

どうしたらオゾンができるか

酸化物からオゾンを作る
 私たちの周りには、成層圏のオゾンや太陽からの紫外線によって自然に作られるオゾンのほかに、紫外線ランプやコピー機などから発生することもあります。人工的に発生させるオゾンの中には、人体や環境にとって歓迎されるオゾンもあるが好ましからざるものもあります。ここでは、まずオゾンを発生させる方法について、書いていきたいと思います。

 自然界にある酸素と呼ばれているものの大部分は分子上酸素O2です。自然界に酸素分子が多いということは、酸素分子が安定していることを示しています。もちろん私たちが日常、呼吸により肺から体内に取り込んでいるのも酸素分子です。オゾンはO3で表されるように、3つの酸素原子から存在しています。そのため酸素の化合物なら、それを分解してやれば酸素原子を放出するので、原理的には酸化物なら何でもオゾンの原料になるということになります。水を電気分解して酸素を取り出しオゾンを作る方法もありますが、一般的には期待の酸素分子を原料にすることが多いです。

 酸素分子からオゾンを作るには、まずO2を2つの酸素原子「O」に分解する必要があります。このプロセスを解離と呼んでいます。酸素分子を構成しているエネルギー、すなわち、結合エネルギー以上のエネルギーを加えれば、O2は解離します。解離現象は、ひもを引っ張ったときの状態を考えるとわかりやすいと思います。分子が切れることは、2つの玉を結んだひもに弾性限界以上の力を加えて切断することと同じように考えていいからです。

 化学反応を起こすのに、物質にエネルギーを与える必要がある反応はいわゆる吸熱反応であり、その逆にエネルギーを放出する反応は発熱反応を表します。オゾンを作る前段階である酸素分子を酸素原子に分解する反応は吸熱反応であって、この関係を式で表すと次のようになります。

O2+e→2O+e-118kcal

 数値の前のマイナスの記号は、この反応が吸熱反応であることを示します。この色は酸素分子1モル118キロカロリーのエネルギーを持った電子を衝突させて吸収させると、1モルの酸素分子がすべて酸素原子に分解することを意味しています。酸素分子にエネルギーを供給する媒体が電子というわけです。ここに、酸素分子1モルとは酸素分子の質量32グラムのことであり、これは分子の数で言えば6×1023個に相当する量になります。

 さて、1モルあたり118キロカロリーのエネルギーとは、1個の酸素分子あたりのエネルギーに換算すると1.97×10-19カロリーとなります。この数値はあまりにも小さいので、エネルギーの単位である電子ボルトで示すと、5.13電子ボルト以上になります。5.13電子ボルトがいわゆる解離エネルギーを指します。したがって、1つの酸素分子に1つの電子を衝突させて、酸素原子に分解するには電子1つが5.13電子ボルト以上のエネルギーを持っていれば良いことになります。

 解離した酸素原子と酸素分子が反応してオゾンを作る反応は発熱反応であるから、この関係は式で示すと次のように表されます。

O+O2→O3+25kcal

 プラスの記号は発熱反応であることを示し、1モルの酸素原子と酸素分子から1モルのオゾンが生成されるときには25キロカロリーの発熱があることを意味しています。

 結果的にオゾン先生は、ここに示した反応式のように2つのステップによって行われると言っていいでしょう。

 ここで、酸素分子にエネルギーを加える方法には何種類かあることを述べておきます。紫外線法、電気分解法、電気的放電法がその主なものとなります。ちなみに、オゾン発生器などは、電気分解法や電気的放電法が採用されています。

耐オゾン性材料
 オゾン生成に関するもう一つ重要なことを述べる必要があります。それはオゾン生成のための容器や配管の構成材料に関することです。オゾンが強力な酸化剤であることを存じのとおりです。したがって、容器などの構成材料は耐オゾン性、すなわち酸化に強い材料を使う必要があります。例えば、ガラスやセラミックのような無機材料はオゾンによって影響を受けません。また、金属の場合には、ステンレスチタンなどは耐オゾン性はありますが、鉄やニッケルはNGです。プラスチック系でも、テフロンや塩化ビニルは耐オゾン性はありますが、ポリエチレンやポリプロピレンは簡単に劣化してしまいます。ゴムでは、フッ素ゴム、バイトン、ハイパロンなどは耐酸性があるので問題ありません。しかし、天然ゴム等はオゾンによって酸化されやすいので注意が必要です。このようにオゾンを扱う場合には、耐オゾン性の高い材料を選択して、装置を構成することが大事なポイントになります。